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ブラザー、
そうウィルには年の離れた弟がいる、ジミー・ターナーだ。
ジュニアハイスクール、
つまり中学校に通う彼はちょっと前まではポケモンに夢中になっていたが、
最近は日本人ラッパーRYUダブシャインの曲を聞くほど日本文化に染まった少年だ。
「ジミー、あいつのラップはラップじゃねえ
刑事の俺が言うのもなんだがギャングスタラップのがマシだ。」
「なんだよウィル!ディスるなよ!
クールなラップにブラックもイエローもねえよ!」
目上の人を敬う儒教思想が浸透している、
日本を含む東アジア人には異様とも言える、
欧米独特のフランクさで、
対等に兄弟喧嘩を始める二人。
旧約聖書のアベルとカインから続くいがみ合いを止めたのは、
神の如く二人も朝食も作った彼等の母親だ。
「ウィル!ジミー!
さっさと食わないと遅刻するよ!!」
聖母と言うより、
グレートマザーと呼ぶに相応しい体格と迫力は、
まるで太古の地母神像の如し。
渋々とはいえ座った二人の目に飛び込んで来たのは、
皿に載ったターンオーバーつまり両面焼きの目玉焼きだ。
「え~日の丸みたいな片面焼きのサニーサイドが良かったなあ。」
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