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課長室に連れて行かれるウィルを、
笑いながら皮肉る太めの男ジャン・ピエールは、
ウィルの同僚である。
昨日遅くまで一緒にいきつけのバーで飲んでいたのに、
涼しい顔で書類を読みながらべーグルを食っていた。
ウィルはこのフォアグラ野郎めと思いながらも、
スリ硝子で仕切られた課長室に入っていった。
「あぁ~んウィルごめんね~
皆の手前貴方にも厳しくしなきゃいけないから。」
突然フリーデはさっきとはうってかわり、
猫撫で声でウィルに甘えて来た。
「おいおい今日は忙しいんだろ!?」
「そうだけどぉ~だからこそ貴方と頑張りたいのよ~」
慣れているつもりだったが、
やはりこの豹変ぶりには戸惑ってしまう。
フリーデは普段厳しく業務をこなす反動か、
裏ではウィルと隠れてオフィスラブの仲なのである。
「ねえ今日仕事終わったら、
私の部屋で一緒に映画見ない?」
「おいおいブロークバック・マウンテンは勘弁してくれよ、
同性愛について真面目に扱ってる映画だが俺にはキツいよ。」
「何言ってるの!急死したヒース・レジャーに追悼の念を送るのよ!」
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