Bad Morning

5/8
前へ
/56ページ
次へ
課長室に連れて行かれるウィルを、 笑いながら皮肉る太めの男ジャン・ピエールは、 ウィルの同僚である。 昨日遅くまで一緒にいきつけのバーで飲んでいたのに、 涼しい顔で書類を読みながらべーグルを食っていた。 ウィルはこのフォアグラ野郎めと思いながらも、 スリ硝子で仕切られた課長室に入っていった。 「あぁ~んウィルごめんね~ 皆の手前貴方にも厳しくしなきゃいけないから。」 突然フリーデはさっきとはうってかわり、 猫撫で声でウィルに甘えて来た。 「おいおい今日は忙しいんだろ!?」 「そうだけどぉ~だからこそ貴方と頑張りたいのよ~」 慣れているつもりだったが、 やはりこの豹変ぶりには戸惑ってしまう。 フリーデは普段厳しく業務をこなす反動か、 裏ではウィルと隠れてオフィスラブの仲なのである。 「ねえ今日仕事終わったら、 私の部屋で一緒に映画見ない?」 「おいおいブロークバック・マウンテンは勘弁してくれよ、 同性愛について真面目に扱ってる映画だが俺にはキツいよ。」 「何言ってるの!急死したヒース・レジャーに追悼の念を送るのよ!」
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加