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再び携帯を開いた画面には栗毛色のロングの髪の毛を綺麗に巻いた女の子が映っていた。
瞳は右が緑、左が赤という、いかにもファンタジーの世界に居そうな不思議な感じがした。本物の人間のようなシルエット。
イラストとは違う、生々しいシルエットに僕はひんやりとした嫌な汗が滲み出るのが分かった。
「秋時、大丈夫か?」
心配そうに見つめる雪仁。
「あぁ……問題ない。少し気分が悪くなっただけだ」
冷静を装い、拾った携帯電話を強く握り締めていた。
「保健室行くか?」
「いや、良い。それよりこの携帯電話……なにかが変だ」
「変?」
「あぁ。見てはいけなかった……そんな気がするんだ」
「おいっ……お前……まさか?!」
「いや、これは霊とかそういった生易しいものなんかじゃないぜ……」
やはり、あの時、交番に届けて置けば良かったと後悔だけが僕の心を渦巻いていた。
この瞬間から僕の人生は少しずつ歯車がズレ始めていった。
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