~九月十日:姫宮魔法専修高校の攻防・前編~

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静岡県の山あいに建てられ二百年、普通なら老朽化しているはずだが、外見は建てられた当初と同じ美しさを保っている。そんな姫宮魔法専修高校は、かつてない熱気に包まれていた。 「俺達には学ぶ権利があるんだ!」 「戦うしか能のない馬鹿は引っ込んでろ!」 「貴様ら、豚箱にぶち込んでやる!大人しく待ってろ!」 一般教養科の生徒は戦闘魔法を学んではいけないという条約が決まってから一カ月、全国各地で学生による反乱が起こっていた。 学生は学ぶ権利を武器に、軍や政府は鎮圧を建て前に、激しい攻防を繰り広げていた。 姫宮魔法専修高校も例外ではなく、練武科以外の学生と鎮圧軍による小競り合いが始まってから三日が経とうとしていた。 「おい、お前も向こうに行く気か!?」 「ああそうだ。別に俺には戦う理由がない」 「くそっ、裏切り者が!」 全てが子供で構成されている反乱軍にとって練武科が戦いの鍵を握っているのだが、戦闘魔法を禁止されずに、しかも将来は軍に入ろうとしている彼らにとって、軍に逆らってもデメリットしかない。 そのため、練武科の大半は軍へ投降した。
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