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「勝負しようぜ」
「……いいよ」
翔は車を運転するゲームの前に立つと、勝負をけしかけてきた。私はあまりやったことはなかったが、何故かその勝負を受けた。
きっと、翔へのお詫び。
ハンドルを握り慣れない動作に戸惑いながらも、ゲームをスタートさせる。
100円玉を投入口に入れようとしたら、翔はその手を止めて200円入れた。
「ありがと」
素直にお礼を言ってみせると、恥ずかしそうに「いーえ」とはにかんだ。
ゲームが始まるが、中々思うように進まない。隣の翔は軽快にハンドルをきっている。
「ちょっとずるいよ!手加減なしなんて!」
思わず声をあげる私。翔は意地悪な顔で言い返す。
「勝負で手を抜くなんてできるわけねぇだろ」
「弱い者いじめ!最低!」
そう反論する私の顔には、自然と笑みがこぼれていた。
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