さよなら

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「ウィナー俺!」 ゲームは翔の圧勝。当たり前だけど悔しくて、じろりと睨んでみた。 「そ、そんな怒んなよ」 あからさまに焦るから面白い。きっと今の彼なら、私のどんなわがままだって聞いてくれるだろう。 「じゃあアレ取って」 「え?」 たまたま後ろにあった、UFOキャッチャーを指差す。翔はそれを見てギクリとした顔をした。 そのUFOキャッチャーは、とても大きな熊のぬいぐるみで、全く取れそうにない。 素人には手も及ばない代物だろう。 ちょっとハードル高すぎたかと、別のを指そうとした時、翔は熊のUFOキャッチャーへ向かっていた。 「本気でやるの?」 「当たり前!百合のお願いだしな」 ただ、意地悪な「わがまま」だったのに、それを翔は「お願い」だと言った。その優しさに心は温まる。
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