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「ありがと」
お礼を言い、彼を見ると、少しだけ悲しい笑みを浮かべた。
それからもたくさんのゲームをして騒いで、とても楽しかった。裕一が隣にいてくれなくなった日から、ここまで私を笑わせてくれた人がいただろうか。
「楽しかったね」
「おう。良かった」
帰り道、2人で他愛もない会話を繰り返す。そんな中、別れがくることを恐れている私がいる。
もしかしたら、裕一を忘れさせてくれるかもしれない。
そんなことまで考えていた。
あれだけ受け入れることを拒んだ裕一の死。それを認めようとまでしているのだ。
「……百合、今日はありがとな」
翔は突然そんなことを言い出す。あそこまで翔のことを拒んでおいて、今更好きになっていることなんて言えない。
「……ううん」
自分の中で後悔しながらも、そう言うしかない。完全に終わりムードだった。
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