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「今までごめんな。もうお前のこと諦めるから」
翔がついにそう言った。
後悔に苛まれるものの、今更……くだらない自分のプライドで、ゆっくり頷くことしかできない。
脇に抱えたぬいぐるみを、ぎゅっと握り締める。
「じゃあ、俺帰るな」
翔が背中を向けた。
過ぎ去っていく。私はまた大切な人を失うの?
止まった私の時を進めてくれる、導いてくれる人とこのまま別れてもいいの?
「翔!」
気づけば大きな声でそう叫んでいた。
目を見開き振り返る翔。いきなり呼び止めた私にかなり驚いている様子。
「どうした?」
進んでいた足を止めて、また私のところへゆっくり戻ってきてくれた。
今の気持ちを伝えよう。
「私、翔のこと……」
「え……」
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