さよなら

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心配し、声をかけてくれた翔を冷たく突っぱねる。翔は驚き、そして酷く傷ついた顔をしていた。 「私に触れていいのは裕一だけ!私の心も裕一だけのもの!」 こんな道の真ん中で、自分は何を言っているんだろう。 戸惑う翔、道行く人の冷たい目線。だけどなにも気にならない、裕一に、私のこの気持ちを分かってほしい。 「ごめんね、裕一。私が好きなのは裕一だけだから……」 今も交差点の真ん中で、立ち尽くす君に会いに行こう。 もう、裕一のいない世界は嫌。 いつも裕一がいるって、あれだけ意地を張り続けた私だけど、この世で1番、裕一がいないんだと感じていたのは私だった。 一緒に時を止めたつもりでいても、時計の針は回る。気づかないうちに、私は進んでいる 見た目も、気持ちも……変わっていってしまうんだ。
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