さよなら

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夢を見ていたのかな。 私は車に跳ねられて、強く全身をうち、昏睡状態に陥っていたらしい。聞けばもう、2週間近く眠りについていたみたい。 お医者さんは奇跡だと微笑んでくれた。跳ねられた時、頭をあまり打たなかったらしくて、命は助かったんだって。 その奇跡を、誰が起こしてくれたかはわからない。 ただ、この日私は誓った。 もう二度と死のうなんて思わない。 目を覚まして、見た母さんは酷く痩せこけていた。寝る間も惜しみ私の見舞いにきて、昼になれば仕事にいき、終われば私の見舞いを繰り返していたみたい。 花は毎日近所の神社を駆けずり回り、私の回復を必死に祈っていたと聞いた。目を覚ました私を責めることなく、あれだけ冷たかった私の回復を涙ながらに喜んでくれたのだ。 翔は自分のせいで私が事故にあったと、酷く責めてしまったらしい。輸血の時に、血をたくさん提供してくれたのは彼だと聞いた。 こんなにも、たくさんの人に心配かけてしまった。
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