みちしるべ

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ある日の放課後だった。 下駄箱を開けると白い封筒。中には一枚の紙。 体育館裏に来て下さい。 とてもシンプルな内容だった。大体予測はつく。告白か、呼び出し。呼び出しの場合は痛い目にあうだけだから、違うといいんだけどな。 そんな悠長な考えで、のんきに足を体育館裏に向けていた。 殺風景な体育館裏には人気がなく、よくよく見渡してみると、木陰に小柄な男が立っていた。 ゆっくり歩みよると、私の存在に気づいたようで、肩を小さく揺らす。 「あ、あの!」 振り返った彼は、なんとも気の弱そうな男だった。学年で色分けしてある名札には、赤色のライン。 私と同い年のようだ。 「なに?」 今までにないタイプだな、と思った。
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