みちしるべ

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「だったら光ん家がいいな」 「え!」 私がそう言うと、光は思い切り焦ったような顔をした。きっと、良からぬ想像でもしているんだろう。 だけどそれでいい。 私の目的は、さっさとこいつと経験して、おさらばすることだった。正直ここまで鬱陶しい男だとは思っておらず、すでに別れたいという気持ちがつのっていた。 「外にしようよ」 光はやっぱりシャイだから、何も起きないであろう外でのデートを提案する。 しかし、私は食い下がるわけにはいかない。 「嫌。光ん家じゃなきゃ、デートしない」 そう言うと光は黙り込み、しばらく考えてから「分かった」と頷いた。 よし、これで光ともおさらば。 「じゃあ、今週の日曜ね」 「うん、ばいばい!」 光は私を送り届けると、無邪気な笑顔で手を振っていった。
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