みちしるべ

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そうしてあっという間に日曜はやってきた。 朝、光が私の家まで迎えにきて、それから歩いて光の家に向かう。 そういえば、光の家に行くのは初めてだった。 「ここが俺ん家」 着いた場所は、何の変哲もない住宅地の中の一軒家。得に大きいというわけでもなく、ノーマルな家だった。 「お邪魔しまぁす」 足を踏み入れると、ほんのり光の匂いが香る。家の奥からはお母さんらしき人物が顔を出した。 「いらっしゃい。あなたが噂の菜々さんね。凄い綺麗ねぇ。光なんかには勿体ないわ」 一気にそうまくし立てられるが、得意の愛想笑いで「いえいえ、そんなぁ」とかわす。 「か、母さん恥ずかしいからもうどっか行けよ!」 光は相変わらずの反応で、まるで中学生みたいなことを言っていた。今時家に彼女連れてくるくらい、当たり前なのに。 「はいはい。それじゃあゆっくりしていってね」 「はい」
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