みちしるべ

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お母さんが去り、光は自分の部屋へと案内してくれた。扉の向こうには、光らしいシンプルな部屋が広がっていた。 「綺麗だね」 「そりゃ、慌てて片付けたから」 私が褒めると、恥ずかしそうに笑う光。 そして、さりげなくベッドに座る光の隣へ移動した。一瞬で顔が赤くなる彼。 「光……しよ?」 行動の早い私。自分から誘ったのなんて、生まれて初めてのことだった。 「えっ……え」 限界まで顔を赤くする光に近寄る。それを拒むようにのけ反る光。中々作戦にのってこない。 早く終わらせたいのに。 「駄目だって!」 いきなり光がそう言って、私を突き飛ばした。呆気にとられ、言葉のでない私。 「あ……ごめん!菜々、大丈夫?」 慌てた様子で私を起こし、心配そうな瞳で見つめてきた。どうして私が突き飛ばされなきゃいけないのかわからなくて、機嫌が悪くなる。
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