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「光……」
目を覚ますと、泣きそうな顔の光が立っていた。隣にはお母さんもいる。
私は病院のベッドにいて、たくさんのチューブに繋がれていた。
「良かった。良かった」
光の嬉しそうな笑顔、安心したのも束の間、何も状況は変わっちゃいないのだ。
「お母さん、先生呼んでくるね」
母さんが病室を出ていく。部屋には私と光だけとなった。
「何でここにいんの?」
冷たく尋ねる。気持ちを悟られないように。
「俺が菜々を見つけたのは2年前。この病院でなんだ」
2年前……私が病気を告げられた日?
「爺ちゃんが入院してて、見舞いにきた時に笑っている菜々を見たんだよ。両親はとても悲しそうな顔をしているのに、それに気を使うように笑ってる菜々」
見られていたんだ。そして気づかれていた。
「それから度々病院で菜々を見て、きっとあの子はなにかの病気なんだって気付いた。気付けば菜々のことばっかり考えてた。そして高校に入学して、菜々を見つけた時、運命だと思った」
そんな昔から、私を想ってくれていたんだね。
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