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「どれだけ待ったと思ってんだよ」
「ご、ごめんね」
恥ずかしさと嬉しさで、顔が真っ赤なのは自覚していた。俯いてそう謝ると、優しい彼の声が振りかかる。
「まぁ、それが菜月なんだけどな」
こんな私を愛してくれる人。そしてそんな君を愛す私。
こうやって、想いを確認しあうまで、意気地なしの私のせいで随分時間がかかってしまった。
だけどこれが私たちのペースなのかもしれない。
ゆっくり。
「戻ろっか」
「うん!」
差し出された手の平を、躊躇うことなく握る。そして私たちは歩きだした。
ゆっくり、2人で進んでいこう。
end
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