瞳を閉じて

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「誠君は本当面白いわねぇ」 「そんなことないですよー」 食事中の楽しそうな会話。いつものこと。だけどそんな中、暗い面持ちなのは私だけ。 よりによって、どうして今日来てしまったんだろう。 さっきまで拓哉といたから、更に自分に対する嫌悪が増す。拓哉は私のことを好きだと言ってくれるのに、私は違う人を想いながら彼といる。 拓哉を好きになりたい。 いつもそう思って過ごしているのに、誠君の顔を見てしまうと、気持ちは激しく揺さぶられるのだ。 「莉奈?」 「えっ?」 お母さんが怪訝そうな顔をして見ていた。慌てて聞き返すと、呆れた顔をされる。 「せっかく誠君が来ていて、楽しくしているのに何であんたはそんなぼうっとしてんのよ」 「……別に」 お母さんの言い方が腹立ち、更にお姉ちゃんと誠君の視線が痛くて、私はぶっきらぼうに返事をして立ち上がった。 「莉奈もう食べないの?」 お母さんにそう聞かれたが、無視して部屋に戻った。
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