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「はい?」
呼び掛けたのに、返答が返ってこない。聞こえなかったのかと思い、仕方なく立ち上がる。
「誰……」
ドアを開けた瞬間、腕をぎゅっと握られた。そして遠慮もなく部屋に入ってくる。
立っていたのは誠君だった。
「ちょっと、駄目、出ていって」
必死で拒む私を無視して、誠君はどんどん迫ってきた。家にはお姉ちゃんも、お母さんもいるというのに……。
ばれたら何もかもおかしくなってしまうというのに。
「莉奈、いいだろ?久しぶりに会えたんだから」
その瞳を見れば、体目当てだということはすぐに分かった。お姉ちゃんという、彼女がいるんだから私になんか手を出さなくてもいいのに。
「お姉ちゃんいるでしょ!」
「あいつ今風呂だから」
「そういうことじゃないよ」
あっという間にベッドに押し倒されていた。必死の抵抗も虚しく、犯されていく。
「お姉ちゃんがいるのに、どうして私にこんなことするの?」
体を触る腕を止め、ちゃんとそう聞いてみる。彼は笑っちゃうくらい、即答してくれた。
「お前が好きだからだよ」
……嘘つき。
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