瞳を閉じて

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朝、目が覚めた私は拓哉に会いに行くべく支度を始めた。気分的にとてもお洒落したい。 ……罪滅ぼしのつもり? 心の奥からそう言う自分が現れて、私は思い切り首をふる。 違う。違う! あのあと、結局誠君を受け入れてしまった私は酷い後悔に苛まれた。 一方誠君は満足げな顔で、服を整えるとさっさとお姉ちゃんの部屋に戻っていく。 なんなのだろう。人ってよくわからない。陰でこうして人を裏切っているんだから。 支度をすませ、部屋を出るとバッタリ誠君と遭遇してしまった。昨日の今日なので、気まずい気持ちがある私とは裏腹に、明るく挨拶してくる。 「そんなお洒落してどこ行くんだよ」 優しい微笑みでそう聞かれ、きゅんとする気持ちを抑えて彼を睨んだ。 「彼氏の家に行くの!」 やっと言えた。 今まで誠君に彼氏の存在を打ち明けることができなかったけど、やっと言うことができたのだ。 少し胸のつっかえが取れる。
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