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「は?お前彼氏なんかいたの?」
急に誠君の顔が曇った。私は目線をそらして「そうだよ」と言う。
一瞬、ヤキモチ妬いたのかなとか思った私は馬鹿だった。
そのあとに聞こえてきたのは彼の笑い声。驚いて誠君の顔を見ると、とても嬉しそうな顔をしていた。
「なーんだ。お前も俺と同類、共犯だったんだな。彼氏持ちなのに他の男とやって、悪いと思わねえの」
胸の深くまでナイフを突き刺された気がした。苦しくて、息ができなくて、力一杯誠君を睨む。
彼の言うことが正しくて、その通りだから反論できなかった。
「最低!」
やっとそれだけ言うと、思い切り走って家から出た。拓哉の元へ急ぐんだ。
あんな奴の言うことを信じるな。考えるな。違う。私はあいつとは違う。
なんとも思わないって、暗示のように考えても、誠君の言葉が消えなかった。
最低な奴と思ってても、好きだから、辛かった。
「なんだよ、莉奈。そんな走ってきて」
待ち合わせの公園に行くと、いつもの拓哉の笑顔があった。癒される。そう感じるのは間違いじゃない。
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