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なんだか、拓哉に対して物凄く罪悪感が溢れてきた。私なんかと付き合っていなければ、こんな風に傷つくことなんてなかったのに。
こんなに優しい人を、辛い目に合わせて、私は何がしたいのだろう。
同じように傷つけて、本当に……私は誠君と同じなのだ。最低、最悪……誠君に抱いてきた感情は、そのまま私に言うことができる。
もう解放してあげよう。
「拓哉、別れよ」
案外すんなり言葉は出てきた。気まずそうに目をそらしていた拓哉は、驚いて振り向く。
「な、なんで?俺がこんなことしたからか?」
焦ったように早口で言葉を紡ぐ様子は、私の胸を苦しめる。私なんかのために、そんなに苦しまないで。
悪いなんて思うことない。
悪いのは全て私だから。
「ううん。私さ、昨日違う男の人に抱かれたんだよね」
重い事実を明るく話す自分に、心底驚いた。いや、もっとびっくりしているのは拓哉か。
彼女の浮気。
こんな風に明るく伝えられた彼は、一体今どんな風に思っているだろう。
一体どんな風に、私は見えているのだろう。
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