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え?
私はそっと自分の頬に手を当ててみた。冷たい雫が触れて、指先が静かに濡れる。
気づかないうちに、泣いていた。
涙の理由はわからない。
「莉奈はそんなことする奴じゃないだろ。何があったんだよ」
冷たい最低女の私に優しくしないで。きっとまた甘えてしまうから。
「何もない!とにかく別れて!」
私はそれだけ言うと、拓哉の家を飛び出した。追いつかれないように、全力疾走した。
訳のわからない曲がり道で曲がったりもして、私はぼろぼろになりながら家についた。
頭の中には空洞ができている。
何かがすっぽり抜けてしまっていた。
胸が痛い。
私は何か大切なものを失った?
「あ、お帰りー」
玄関に入ると、たまたまお姉ちゃんがいて優しい笑みを浮かべていた。
「どうかしたの?」
私の様子のおかしさに気づいたのか、心配そうに尋ねてくる。私は首を振って黙ったまま、自分の部屋に閉じこもった。
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