瞳を閉じて

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「莉奈ぁ?」 ひたすら物思いに耽っていると、名前を呼ばれた。お姉ちゃんがドアの前に立っているみたい。 「ご飯食べないの?」 ああ、それで呼びにきたのか。 正直お腹は空いているけど、誠君に会いたくない。けれども空腹には勝てそうもない。 「……今行く」 そう言うと、お姉ちゃんが階段を降りていく足音が聞こえた。そのリズムにのり立ち上がり、私は意を決してリビングに降りた。 「あら、莉奈寝てたの?酷い顔よ」 母さんは私の顔を見て、笑いながら失礼なことを言う。いつもなら言い返しているところだが、言葉を返す気力もなかった。 「莉奈、おはよう」 誠君が笑いながらふざけてそう言ってきた。 私はつい過剰反応して、足を止めて誠君を凝視してしまう。 異様な空気が流れた後、私は誠君を無視して席についた。お母さんが隣で、「こら、莉奈」と言っているのが聞こえる。 誠君からの刺すような視線も感じた。
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