1866人が本棚に入れています
本棚に追加
私のおかしな様子を察してか、今日はいつもより随分と静かな食事になった。
誠君がきた日は、さっきまでのように、2階に声が届くくらい和気あいあいとした食事になるのに。
私のせいだとわかってはいても、今はテンションなんて上げられなかった。拓哉と別れたし、誠君はいるし……。
静かな夕食を終え、「ごちそうさま」もいわずに部屋へと戻った。いつもならうるさい母さんも、この時ばかりは何も言ってこなかった。
部屋に戻り、またベッドに倒れこむ。
どうして、こんなにも元気がないのか分からない。
拓哉は誠君で傷ついた心を癒すための、それだけの存在だったはずなのに。
「莉奈」
ドアのノックと共に、1番聞きたくない声が聞こえた。誠君だ。何をしにきたんだろう。
……まぁ、目的はわかりきっているけど。
私は返事をせず、ただぼうっとドアを眺めた。するとドアノブが下げられるのが見える。
部屋に鍵なんてついていないので、入ろうと思えば容易に侵入することができた。
最初のコメントを投稿しよう!