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「ちっ……」
誠君は眉間にシワをよせ、舌打ちをすると、ベッドに寝転ぶ私に覆いかぶさってきた。
「やめて!」
必死に抵抗し、できるかぎり暴れる。
さすがの誠君も、そんな私を抑えつけるのにはてこずっているようだ。
「おとなしくしろよ」
誠君がそう言ったとき、ドアが開いた音と、視線を感じた。
誠君と私は一緒に振り返る。
「なに……してんの?」
立っていたのは、お姉ちゃんだった。
私も誠君も、突然の出来事に固まったまま。それはお姉ちゃんも同じだった。
目を見開いて、どう考えても怪しい体制の私たちを見ている。
「お姉ちゃん……」
やっと出てきた言葉。言ったと同時に涙が溢れて止まらなくなった。誠君は慌てて私から離れ、必死の言い訳をする。
「都、違うんだよ。莉奈が俺を誘ってきたんだ」
何を言ってるんだ、この人。
罪を全て私になすりつける気なのだろうか。違うと叫びたいけれど、涙で声がつまり、言えない。
このままでは、お姉ちゃんに誤解されてしまう。
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