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「お姉ちゃん……怒らないの?なんで怒らないの!?」
私がそう言うと、お姉ちゃんは少し間を置いてからハッキリ言った。
「1番の被害者は、莉奈だよ。私よりももっと傷ついてるはず」
嘘だ。
2年も付き合っていた彼氏に、裏切られていて傷つかないはずがない。絶対お姉ちゃんのほうが辛いのに。
「……ごめん。お姉ちゃんごめんね」
私は必死に謝ることしかできなかった。
お姉ちゃんの心の寛大さを、改めて尊敬した。私はこの人が大好きだ。お姉ちゃんで良かった。
「ほんとはね、少し前からあんたらに何かあるなとは思ってたの。莉奈は誠がくると様子がおかしくなるし」
そんなカミングアウトに驚いた。そこまでお姉ちゃんが鋭かったなんて。
「……誠」
低い言葉が響く。
今まで会話に入れなかった誠君が、ようやく喋れるときがきたのだ。
「別れよう」
その言葉には私も誠君も目を見開いた。まさか今、そうなるとは思わなかったから。
「は!?俺の話しも聞けよ。何で莉奈の言うことを信じるんだよ」
確かに、私の話しだけでそんな重要なことを決められては困る。誠君が嘘を言うかは別として、話し合いはしたほうがいいと思う。
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