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「ちょっと、なにするの!」
私は慌てて携帯を取り返そうとしたが、ひらりとかわされてしまう。
一体何をしようとしているのだろう。
誠君は少しいじってから、携帯を耳にあてた。まさか、誰かに電話をかけているのだろうか。
「あーもしもし?お前、拓哉だろ?」
誠君がそう言った。
拓哉に電話をかけていたんだ!
一体何を言うつもりなんだろう。誠君が携帯をスピーカーにしたので、拓哉の戸惑いの声が聞こえてくる。
「やめてよ!返して!」
必死に携帯に手を伸ばすが、長身の誠君には全く届かない。
『莉奈?』
私の声が聞こえたのか、拓哉がそう呼ぶのが分かった。こんな状況なのに、嬉しいと思う自分がいた。
嬉しい?
「莉奈はな、俺とヤッたんだよ。お前は遊びだったわけ。しかも俺、莉奈の姉貴の彼氏なんだぜ?こいつまじ最低な女だと思わない?」
誠君は笑いながらそう言ってのけた。
やめてよ。しられたくないのに。軽蔑されてしまう。汚いって離れていってしまう。
「やめてよ!!」
私は叫び声をあげた。それと同時にお姉ちゃんが誠君に近寄り、ビンタを一発お見舞いした。
誠君が落とした携帯を見ると、すでに電話は切れていた。
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