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「俺は、お前が誰を好きでも、お前が好きだから」
嬉しい。
普通なら、軽蔑されるようなことをした私を、それを分かった上で好きだと言ってくれる。
こんな人、この世に彼一人しかいないのではないだろうか。
「莉奈はどこに行くつもりだったんだ?」
「……拓哉ん家」
「俺ん家?」
不思議そうな顔をする拓哉を見て、強く頷いてみせる。
「話しがあって……」
自分の気持ちを伝えなきゃ。
拓哉が伝えてくれたように、私も精一杯返さなくちゃならない。
でも、いざとなると言葉が出てこない。
「莉奈?」
拓哉の声に鼓動が早まる。
私は自然と目を閉じていた。そこに写るのは好きな人。大切な人。
目を開ける。
そこにいるのも、大好きな人。
「拓哉が好きです」
言った瞬間、拓哉が目を見開いて、次の瞬間には抱きしめられていた。
耳元で、小さく拓哉が呟く。
「ようやく、両想いになれた」
今までお互い辛い片想いをしていたんだ。だけどようやく、2人の想いが交わって、こうして抱き合うことができるようになったのだ。
瞳を閉じれば、大好きな人がいる。
瞳を開けると、大好きな人がいる。
END
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