きみの隣

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あれから、7年の時が経つ。 俺たちは高校生になっていた。腐れ縁なのか、偶然なのか、志望校が同じだったらしく、試験会場で久美を見た時は驚いた。 できるなら顔を合わせたくなかったのに。 俺たち2人は、あの日以来、ほとんど会話を交わしたことがない。 最初は俺の一方的な無視だったのが、中学になった頃には、久美からも俺を避けるようになっていた。 もう、元には戻れない。 俺の中にはそんな、やりきれない想いが渦巻く。 俺はあの頃から変わらず、久美のことが好きだから。 好きだからこそ、あの日に久美に怪我を負わせてしまったことは、自分の身を削られるのと同じようなこと。 罪悪感で胸が痛くて仕方なかったのだ。 ましてや幼かった自分が、その痛みに耐えられるはずもなく、無視という行動を生んだ。 仕方ないことだと分かっていても、あの時無視をしていなければと何度思ったことか。 そう考える度に重い溜め息がこぼれた。
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