きみの隣

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この日もなんら変わりなく過ごし、あっという間に放課後になっていた。 そこで女子から黄色い声があがる。 何事かと見てみれば、3年生の先輩が来ていた。確か見たことがある……中々のイケメンで女子に大人気な人だ。 「坂下先輩だな」 奏が横からひょっこり顔を出した。その言葉を聞いて思い出す。そうだ、あの人は坂下先輩だ。 名前と顔が一致して、スッキリした俺。 しかし、そんなのも束の間だった。 「あ!」 声を出したのは奏。俺は唖然としてその光景を見ていた。 坂下先輩が久美の腕をひき、廊下へと連れ出してしまったのだ。女子は黄色い声で騒いでいる。 先輩に連れて行かれる時の、あの恥ずかしそうな久美の顔が頭から離れない。 まさか、あの2人……。 嫌な予感が頭を過ぎる。 でも色々と考える前に体が先に動いていた。 「あ、おい!和馬、どこ行くんだよ」 奏の呼びかけにも応えている暇はない。ただ坂下先輩の背中を追いかけることしか頭になかった。 坂下先輩の姿を探すと、校舎裏に行くのが見えた。
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