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校舎裏といえば、告白の定番スポット。もしかしたらまだ、久美と坂下はできているわけではないのかもしれない。
わずかに希望の光が見え、俺は何がしたいのかも分からず、こっそり2人の後をつけた。
端から見たら物凄く怪しい人物だ。気づかれぬよう、様子を伺う仕草はストーカーそのもの。
自覚はあるものの、やめる気はなかった。
「いきなり連れてきて、ごめんね」
ようやく止まったと思い、壁の影に隠れているとそんな声が聞こえてきた。
やはり、今から告白する雰囲気だ。
「いえ……」
久美のか細い声が聞こえる。顔は見なくても、きっと真っ赤なことが予想される。
「俺が久美ちゃんをここに連れてきた理由、もう分かると思うけど」
坂下が少し恥じらいながらそう言った。
まずい、まずいぞ。
あんなイケメンに真剣に告られては、久美が断るはずがない。今まで久美に彼氏なんてできたことがなかったから、俺は油断していた。
まさか、久美が誰かと付き合うなんて考えたこともなかった。
付き合ってしまえば、俺の長い片想いは失恋確定。もう本当に久美に近づけなくなってしまう。
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