きみの隣

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「俺、久美ちゃんのこと……」 考えている暇はない。 俺はまたしても、自分の中の本能につき動かされ、いきなり2人の前に飛び出していた。 驚く坂下と、久美。 1番驚いているのは俺自身だっていうのに。 飛び出したはいいものの、そのあとのことなど何も考えていない俺は、当然の如く言葉に詰まる。 「いや……その」 一人でどもりながら、言い訳を考えるが頭の中は真っ白。突然訪れたピンチに、考えるという機能は失われていた。 もう、やけくそだ。 「久美!先生が呼んでるぞ!」 意味もなく大きな声でそう言う。久美は「えっ」と小さく声をもらし、ちらりと坂下を見た。 「……行ってきなよ。また今度話そう」 坂下は優しい大人びた微笑みで久美を送り出す。久美は軽く会釈すると、気まずそうに俺の元へと駆け寄ってきた。 「こっち」 急な展開に頭は追いつかず、この嘘をどうかわすか必死で考えた。とりあえず職員室方面へ歩くものの、全くいい案が浮かばない。 もうどうしようもなかったので、俺は立ち止まった。
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