きみの隣

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「もういいだろ!心の狭い女だな」 やばい。 と思ったときには、もう言葉が口から飛び出した後だった。熱くなっていたものが、いっきに冷えていく。 全ては俺が悪いのに、完全な逆ギレだった。 「……わかった。もういい。二度と話しかけないで」 久美は冷たい視線をこちらに向けると、そう吐き捨てた。 怒るのも無理ないか。 酷く後悔し、何も言い返せない。 今回で、俺と久美の溝は更に深まった。もう埋めることは不可能かもしれない。 「……じゃ」 ぽつりと言った久美の声は、わずかに震えていた。まさかと思い顔をあげると、久美はこちらに背を向けて足早に帰ろうとしていた。 俺は反射的に追いかけて、そのか細い腕を掴む。 「きゃっ」 驚いて振り返る久美の瞳には、光るものがあった。 俺だと分かった彼女は、勢い良く腕を振り払い走って去っていった。 胸に重たいものがのしかかり、かなりのショックを受けていることに気がつく。 まさか久美を泣かせてしまうなんて思わなかった。 最低だ、俺は。 あいつのこと好きでいる資格はないのかもしれない。
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