きみの隣

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足が向かった先は、昨日と同じ場所だった。きっとまたあそこで告白する気がする。 カンだったが、それは間違いではなかった。 2人の姿を見つけ、一先ず安堵する。だが、うかうかしていられない。まだ告白していないといいのだけど。 「久美!」 走りながら、大きな声で名前を呼んだ。 名前を呼ぶだけで、鼓動は早くなる。胸がじんわりと締め付けらる。 久美と坂下は驚いて振り返った。 「なにしにきたの?」 昨日のこともあり、冷ややかな目をしている久美。仕方ないことだけど、心が折れそうになる。 「邪魔しにきた」 だけどしっかりと久美の目を見てそう言った。彼女の目が一瞬、揺れる。 動揺、戸惑いが見てとれる。 「俺は今、大事な話しをしてるところだから、止めてほしいんだけどなぁ」 白々しい顔でそう言ってのける坂下。まさか俺が自分の思惑を知っているっは思ってもないのだろう。 「何が大切な話だよ。久美を弄ぼうとしてるんだろ!」 案の定、坂下の表情が変わった。図星のよう。怒りが沸々と沸き上がってくる。
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