きみの隣

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「訳分からないこと言うなよ」 シラをきりとおすようだ。嘘くさい笑みを浮かべ、落ち着いている。そんな態度がまた、俺を熱くさせた。 「なんだとこの!」 掴みかかりそうになった時、俺の腕に細い腕が絡みついた。 いきなり拘束され、びっくりして振り返る。絡みついた腕の犯人は、俺をじろりと睨んでいる。 「いい加減にしてよ!昨日から一体なんなの!」 何も知らない久美からすれば、俺の行動は全く訳が分からないのだろう。 怒るのも無理ないか。 だが今ここで説明しても、信じてくれるか分からない。坂下に勘違いだと言いくるめられる可能性もある。 そこでふと浮かんだのは、自分の想いだった。 そっと肩に手を乗せて、きちんと久美と向き合う。急に近くなった距離に、戸惑い頬を染める彼女。 ずっと、ずっとこうして触れたかった。 俺の隣には君がいて、君の隣には俺がいるのが当たり前だった。それが狂ってしまった日から、どれだけ待ち望んだ瞬間だろう。 君の瞳に、俺が映っている。 「久美、好きだ」
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