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思いもよらない言葉だった。
ずっと嫌われていると思っていたのだ。
あんな怪我を負わせ、散々無視したあげく、昨日信じられない暴言を吐いた。
でも……聞き間違いではない。
「ほんとか?」
「……うん」
恥ずかしそうに目をそらす久美に、俺は確信した。
俺たちは両想いなのだと。
「やばい、すげえ嬉しい」
気持ちをストレートに伝えると、久美も頷いてくれる。
昨日までの2人からは想像できない光景だった。
嬉しすぎて、なにを言えばいいのか分からなくなる。
「久美は、俺のこと嫌いなんだと思ってた」
「それは私の台詞だよ。ずっと無視されてたし、昨日みたいなこともしてくるし……」
じろりと睨まれて、自分がしたことが大きな誤解を生んでしまっていたんだと気付く。
「無視してたのは、怪我させたことの罪悪感で……」
「ばっかじゃないの!あんな小さな怪我なんか気にしてなかったのに。じゃあ、昨日のことは?」
「昨日のは、坂下に久美が取られると思ったら勝手に行動してて……」
「ヤキモチやいてたんだ」
久美は始終強気な様子。俺はすでに尻にしかれているのかもしれない。
最後の問いには、頷くしかできなかった。
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