七夕のキセキ

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勇士とは小学から中学まで同じ学校で過ごしたクラスメート。 最初は男として見ていなかったし、馬鹿やれる友達だった。 いつからだっけ。勇士のことを意識するようになったのは。 反芻して記憶を巡る。 ああ、あの日だ。 中学1年のとき、好きだった先輩に振られた日。泣き顔なんて誰にも見られたくなくて、隠れて校舎裏で泣いていた。 そうしたら急に雨が降ってきて、どうしようかと思っていたら、ふいに傘が頭上に現れた。 びっくりして振り返ると、勇士が後ろを向いて傘を差し出している。 自分が濡れているのも気にせずに。 「……ん」 傘を持てと言わんばかりに差し出してくるので、受け取るとこちらを一切見ることなく言ったのだ。 「何も見てねえから」 勇士なりの優しさだったのだと思う。 泣き顔を見られたくないという私の気持ちを察し、考慮して一切目を合わせなかったのだ。
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