七夕のキセキ

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一言言った勇士は足早に立ち去っていき、呆気にとられた私はただ彼の背中を見つめていた。 いつも、からかいあってばかりなのに、こんな弱いところを見ても馬鹿にすることなく行ってしまうなんて。 優しいところあるんだ。 それから、徐々に勇士を意識しだして、中学2年にあがる頃には好きなんだと自覚していた。 でも気持ちを伝えることはできなかった。 怖かったのだ。今の関係が崩れてしまうことが。何かが変わってしまうことが。 まさか、こんなことになるなんて想像もしていなかったから、ただ逃げていられていたんだと思う。 今は後悔してばかり。 どうして気持ちを伝えなかったのか。どうしていつまでも一緒にいられると思っていたのか。
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