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あの日から、あっという間に時は流れていた。
私はいつの間にか高校3年生で、もう卒業を迎えようとしている。こうして考えてみると、月日が経つのは、月の満ち欠けのように自然であっという間だった。
「菜月!おはよう」
卒業式を明日に控え、少ししんみりしている教室に、美香が元気よく駆け込んできた。
「おはよ」
にっこり笑顔で返すと、さっきまでの元気はどこへやら、いきなり目を潤ませる美香。
びっくりして慌ててハンカチを差し出した。
「ど、どうしたの?」
「だってさ、菜月とこうやって同じ学校に通えるのも明日で最後だと思ったら……」
普段強気で滅多に涙を見せない美香は、今は物凄く涙もろかった。中々意地らしいことを言ってくれ、私までもらい泣きしてしまいそう。
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