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「転校ってどこ行くんだよ!」
勇士の友達の男子が、切羽詰まった顔で聞いた。
ナイスな質問。もしかしたら隣町とか、悪くても隣の県くらいかもしれない。
それならば会うチャンスはいくらでもある。
わずかな希望に賭けて、私は目を閉じて返答を待った。
「……アメリカ」
勇士の答えは予想もしていなかったもので、あいた口が閉まらなかった。
アメリカって、アメリカ合衆国だよね?
え?外国?
飛行機で何時間?
もう……会えない。
頭をよぎる、絶望。
「勇士はお父さんの仕事の都合で、遠いアメリカまで行くことになったんだ。今日出発だそうだ。みんなで見送ろうな」
見送ってしまえば……もう……。
それからの時間はあまり覚えていない。涙は出なかった。突然すぎてついていけなかった。
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