七夕のキセキ

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「……え!?」 びっくりして飛び起きると、にやにやと笑う勇士が立っていた。夢かと思い目をこするが、やはり彼はそこにいた。 「なんで?」 声が震える。 この唐突で、現状を理解できない状況は、あの日勇士が行ってしまった日に似ていた。 「さっき一時帰国したんだ。すぐにまたアメリカに戻らなきゃなんねえんだけど」 嬉しい気持ちと、帰ってきたわけではないのかという落胆が入り混じる。 「へえ……そう」 1年振りの勇士は何だか新鮮で、どんな反応をしていいか分からない。 1年も経つとやはり変わる。 格段に格好良くなっていた。 今が夜で良かったと心から安心する。真っ赤な頬を見られなくてすむから。 「……てか、菜摘でもあんなロマンチックなこと言うんだな」 つい先ほどの自分の発言を思い出し、また恥ずかしくなった。からかい口調は変わっていない。 「うるさい!自分だって返事したじゃんか」
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