七夕のキセキ

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「事実を言ったんだからいいだろ?」 「事実?」 「おり姫とひこ星は会えたよ」 よく意味が理解できない。首を傾げ勇士の顔を見ると、いたって真面目だということが分かった。 心臓が破裂しそう。 「何でそう思うの?」 私の質問に、勇士は即答した。 「俺と菜摘が会えたから」 どういうこと? そう尋ねる前に勇士は言った。 「俺と菜摘はこんなでけえ海を越えて会えたんだ。川くらいならあの2人だって越えられるさ」 らしくない、言葉。だけど似たようなことを考えていた自分がいる。 「勇士らしくないね。恥ずかしくないの?」 言った本人より私のほうが恥ずかしくて、思わず茶化してしまった。 「ん?別に恥ずかしくねえよ。それよりこれから言うことのが恥ずかしい」 「なに?」 「菜摘が好きだーー!」 辺りに響きわたるような大きな声だった。
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