七夕のキセキ

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嘘だ。 直感的にそう思う。信じられない。いきなり目の前からいなくなって、いきなり現れて、いきなり告白。 嘘……でも、嘘じゃないことを祈る。 「ずっと、小学生の頃から好きだった」 涙が出そうだった。勇士は、私が勇士を好きになる前から私のことが好きだったんだ。 「転校した日、告白できなかったこと本当に後悔した。帰国したら1番に会いに行って言おうって決めてた」 嬉しい。嬉しいのに声は震えて言葉にならない。 「……嘘」 「まじ」 「……私も好き」 やっと言うことができた。 少しの沈黙のあと、遠慮がちに近寄ってくる足が見える。 顔をあげるとすぐそばに勇士がいた。 昨日まではあんなに遠くにいたのに。
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