約束の夏

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「ただいまぁ」 お母さんは玄関で一際大きな声を出した。父さんは車から、私とお母さんの荷物をせっせと運んでいる。 「お帰り。よく来たね」 前見たときよりかは、幾分かシワが増えた気がするお婆ちゃんが、奥の居間からやってきた。 にこにこと、笑みを浮かべているので私もついつられて笑顔になる。 「お母さん、こんにちは」 荷物を運んできたお父さんが、お婆ちゃんに優しく声をかけた。 居間に集まった私たちは、色んな話をした。 お婆ちゃんは一人だけど、近所の子供がよく声をかけてくれるから寂しくないことや、私の定期的にかける電話が嬉しいことなど。 面と向かって言われた私は、恥ずかしくて俯いた。 お父さんとお母さんは、それを見て笑っていた。 「香苗は何年生になったの?」 突然お婆ちゃんが尋ねてきた。 「中二になったよ」 私がそう答えると、「そう」と口を綻ばせる。 「来年はもう受験生ね。そうなったら、香苗の顔を来年は見れないのかしら」 お婆ちゃんは笑ってはいるものの、何だか淋しそうだった。 「大丈夫!勉強とか余裕だから、来年もちゃんと来るよ」
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