1866人が本棚に入れています
本棚に追加
「何が余裕だってー?」
お婆ちゃんを喜ばせようとついた嘘なのに、私の成績を知っているお母さんは目をキラリと光らせた。
ギクリと心臓が跳ねる。
お婆ちゃんの前で、実は頭悪いんです、なんて言えるわけがない。
そう考えると少し不安になってきた。馬鹿な私は夏休みも勉強しないと、どこの高校にも受からないんじゃないだろうか。
そうすると、本当にお婆ちゃんの家に来れなくなってしまう。
それは嫌だなぁ。と、思いつつも勉強なんてする気は更々なかった。
「香苗、暇だったら散歩しておいで。凄く気持ちいいのよ」
お母さんと一緒に夕飯の支度をしていたお婆ちゃんが、暇そうにテレビを見ていた私に言った。
どうしようかな、と頭の中で考えたが、お父さんは爆睡中で相手してくれないし、確かに暇なのだ。
「分かった。そうする」
「6時までには戻ってきなさいよ」
頷いた私に、お母さんはそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!