約束の夏

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俯いて、色々考えていた私は一度顔をあげた。 景色は相変わらず緑。山がこんなに近くにあるなんて信じられない。田んぼもどうしてこんなに、広々としているんだろう。 ほっ、とため息をついたのも束の間、私は重大なことに気がついた。 ここ……どこだ? 考えながら歩いていたから、道なんて確かめていなかった。真っすぐ歩いてきたつもりだったが、後ろを見ても知らない道ばかり。 やってしまった。 私は顔から血の気がひいていくのを感じた。 こんな見知らぬ土地で、しかもあんまり人がいない場所で、迷子になってしまうなんて。 どうしようかと、回らない頭を働かせる。 こんな時に携帯があればと悔やんだ。 私は携帯をまだ持っていなかったのだ。友達はもう大体持っていたけど、まだ必要ないとお父さんが許してくれないから。 お父さんの馬鹿! 心の中で、悪態をついた。
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