約束の夏

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途方に暮れ、無意味に辺りを見渡してみる。 ぽつんと寂しい公園を見つけた。私は吸い寄せられるように、そこを目指して足を進める。 門を通りすぎて、いかにも管理不行き届きといった公園を見回した。 雑草が生え放題の地面に、錆びた滑り台、荒れた砂場に、ペンキの剥がれかけたブランコ。 極めつけは、誰もいないということだ。 果たして本当に、公園と呼んでもいいのだろうか。 「はぁ」 どうせ誰もいないのだからと、遠慮することなく大きなため息をついた。 迷子になった時は、あんまり動かないほうがいいよね。 そう思った私は、とりあえずブランコに腰掛ける。 小学校以来のブランコに、沈んだ気分も少しだけ回復した気がした。小さくブランコをこぎながら、色々思いを巡らせていた。 もし、誰も私を見つけられなかったら。 もし、大事になって警察まで動いていたら。 もし、心配したお婆ちゃんが泣いていたら……。 考えれば考えるほど、不安は増していくばかり。
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