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中2にもなって迷子なんて、本当情けない。
泣きそうになり、ブランコを漕ぐ足を止め、俯いた。
「どうしたの?」
急に背中から声をかけられ、私はびっくりして振り返った。
後ろには見たこともない男の子。
同い年か、年上くらいの顔立ちで、優しい笑みを浮かべていた。
いや、でも、優しそうだからと言って気を許してはいけない。最近の世の中は物騒だ。公園で女の子が襲われるといったことはよく聞く。
私は自然に身構えながら言った。
「いや、別に何もないです」
「そう?じゃあ、何でそんな泣きそうな顔してるの?」
そう聞かれ、口ごもる。
私、そんなに顔に出ていたのかな。恥ずかしくもなった。
「大丈夫だよ。言ってみて」
男の子はさりげなく隣のブランコに座り、優しく言った。
さっきまで不安でいっぱいだったのに、急に胸が違う感じで締め付けられる。
ドキドキした。
私は、男の子を直視できなくて、目を伏せたまま打ち明ける。
「い、家が分からなくなっちゃって……」
顔が熱くなるのが分かる。絶対馬鹿な子だと思われた。
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