約束の夏

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こう行ってこう行って、っと……。 地図何度も回しながら進み、方向音痴ながらも無事に公園に辿りついた。 よく、私はこんなところまで無意識で来れたな、と苦笑いする。 まぁ、でもいっか。 今は迷子になったことを、褒めてあげたいくらいだった。 あの人に出会えたから。 昨日の夜から、あの男の子の笑顔ばかりが思い出され、気になって仕方なかったのだ。 我慢できなくて、こうしてまた公園に来てみようと思ったのも、本当の理由はそれ。 あの人に会えるかもしれないから。 期待と希望に満ちた胸で、公園に乗り込んだはいいものの、やはり閑散としていて誰もいなかった。 ガックリと肩を落とし、またブランコに座る。 そう簡単に会えるわけないよね。 しばらく待ってみたものの、あの人どころか人が来る気配もないので、公園を後にすることにした。 門を出て、家方向に足を向けたとき、背中から声が聞こえた。 「あ、君!」 聞き覚えのある声。 一瞬にして私の胸は躍る。跳ねる。振り返ると、あの人が立っていた。
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