約束の夏

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「あっ……お、おはよ」 びっくりして、緊張して、どう考えても「こんにちは」の時間帯なのに、私はそう口走っていた。 頬が熱くなるのを感じ、俯くとくすりと小さな笑い声が聞こえた。 「おはよう」 あえて私に合わせてくれたのは、優しさからかもしれないが、私は余計に恥ずかしさが増す。 「また迷子?」 優しい瞳で語りかけてくる彼に、勢い良く首を振る。 「違う。あの……その……」 どうしてここにいるかを説明しようとしたのだけど、あなたに会いたかったからなんて、そんなこと言えるわけがない。 言いかけてどもり、目を泳がせ別の理由を必死に考えた。 「僕は君にまた会いたくてきたよ」 私が口を開く前に、彼はそう言ってのけた。 唖然として彼を見るが、涼しそうな表情に照れは見られない。そんな恥ずかしい台詞、淡々の言ってしまうなんて……。 気づくと私は異常なまでにドキドキしていた。 「冗談?」 こっちが照れ隠しに言うと、ふっと強い鼻息が聞こえた。 「ほんと」
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